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またテレビで、やってました。

暗い所で読書は目が悪くなる話は本当か?嘘か?
眼科をやっている医師が出ていて、
近視、遠視、乱視が進むとか、関係無いので嘘です。
だけで終わってました。
いやいやいや、眼科専門医ならそれで終わりにしてはいけません。

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子供、若い人が暗い中で何を見たって別に問題は無いですよ。

でも、50歳以上で、元々遠視で遠くが見えていて、自分の眼は良い眼だ、と思っている人が要注意です。

カメラのレンズの絞りを考えてもらうのと同じで、眼も虹彩が絞りの役割をしています。
明るいところでは眩しいので、瞳孔が小さくなって、眼の中に入る光を減らそうとします。
逆に、暗いところでは光が少ないので、瞳孔が大きくなって、眼の中に入る光を増やそうとします。

全ての人が年齢の変化で白内障になります。
白内障というのは、水晶体が濁るだけではなく、水晶体が分厚くなります。
元々遠視の人というのは、水晶体が分厚いのです。
元々分厚い水晶体が、白内障で更に分厚くなり、水晶体の前にある虹彩が前に押し出されます。

眼の中の大半は水で満たされています。
水晶体の付け根に毛様体というところから水が産生され、角膜と虹彩の間の隅角という部分から水が外に出ます。
それが、元々遠視があって、白内障になってくると、隅角が狭くなってくる人がいます。
更に、暗いところで瞳孔が広がると、虹彩が分厚くなり、もっと隅角が狭くなります。
カーテンを閉じていれば布の厚みだけですが、カーテンを開くと布が折り畳まれて分厚くなるのと同じです。

その結果どうなるのかというと、最悪は隅角が完全にくっついてしまって、水が外に出られなくなります。
急性緑内障発作という状態で、急に眼圧が上がるので、急に眼が痛くなり、見えなくなり、頭が痛く、気持ち悪くなります。
かなり辛い状態になるので、最初は頭に何か大変なことが起こったのではないかと思う人も多く、
脳外科など一通り検査をしたが問題無いので、ようやく眼科に回ってきたら急性緑内障発作だったということが良くあります。
これが、暗い中で読書をした場合のリスクです。
特に、夜中、明け方に急性緑内障発作を起こす人が多いです。
大学病院に勤務していた時、当直の夜中に起こされて対応をしたことが何回もあります。

でも、全員が急性緑内障発作にはなりません。
気を付けた方が良いのは、遠視で、50歳以上の人です。
たまに20歳代で頭が痛いから緑内障発作じゃないかと心配で来たという人を見ますが、99%違います。
元々ぶどう膜炎で虹彩水晶体癒着、角膜虹彩癒着があるような特殊な眼は別ですよ。
自分の眼が急性緑内障発作になりそうな眼か心配であれば、眼科を受診して下さい。
普通は一目で分かります。
たまに微妙な場合もありますが。
微妙な場合というのは、隅角は狭いけど、まぁ大丈夫か、みたいな場合です。
その場合、急性緑内障発作の予防法はあります。

 

ベストは普通に白内障手術を早めにやってしまうことです。
これが唯一、見え方が困っていなくても早目の白内障手術を勧める場合なのです。
分厚い水晶体から薄い眼内レンズに置き換えるので、急性緑内障発作にはならない眼になります。
ついでに遠視も無くせるのと、角膜乱視がある場合は乱視矯正眼内レンズを使えば乱視を減らすことも出来ます。


次は、白内障手術はせずに、レーザーで虹彩に穴を開けることです。
水の通り道のバイパスを作ってやるということです。
ただ、本来の分厚い水晶体はそのままなので、レーザーで虹彩に穴を開けても、そのうち本当に急性緑内障発作を起こす人は起こします。
急性緑内障発作を起こした場合の緊急対応や、予防策にはなりますが。
結局最後は白内障手術をすることになるので、緊急対応以外はあまりお勧めしていません。

 

最後は、瞳孔を縮める目薬を使うことです。
瞳孔が広がらなければ、急性緑内障発作は起こしにくいからです。
そもそも急性緑内障発作を起こした場合の最初の対応は、この目薬から始まります。
急性緑内障発作の解除が出来、眼圧が下がって角膜が透明になってこないと、レーザーも白内障手術も出来ないです。
たまに、急性緑内障発作が心配な人に使う場合がありますが、使い過ぎると虹彩、水晶体癒着を起こす場合もあるので、定期的に状態を見る必要があります。

自分で出来る予防策は、明所で過ごすことです。
目薬と同じで、明所なら、瞳孔は小さく急性緑内障発作になりにくいからです。
夜、トイレなどで起きた時は、嫌でもしっかり眩しいくらい照明を点けることです。

暗所で読書の話は、ここまで書くネタがあるんです。
僕は昔の人がここまで気付いていたかは分からないけど、推測自体は鋭かったですね!と言っています。
もし、急性緑内障発作が心配な場合は言って下さい。
必要が無い場合は白内障手術もレーザーも目薬も勧めませんので、手術されちゃうんじゃないかって逆の心配も不要です(笑)

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